駐車場の危険を伝える物語を描きました

先日、保育園の駐車場内で痛ましい事故が発生し、多くの園において、保護者の方への注意喚起や安全対策の強化に取り組まれていることと思います。

私も報道を通じて知り、胸が締め付けられる思いです。

このような悲しい事故を起こさないために、私自身も保護者、そして運転者として、改めて危機管理意識を高めなければならないと感じました。

そして、子どもたちの命を守るための活動をしている一人として、何かできることはないかと考え、駐車場の危険をテーマに物語を描きました。

この物語は、地震発生時に保育園の駐車場で起こりうる具体的な場面を描いたものです。
(素人ですので、文章の構成、表現などが拙いです。ご容赦ください。)


この物語を参考にしていただき、先生方には、以下のような具体的な対応を事前に検討・共有していただきたいと思っています。

■駐車場では必ず子どもと手をつなぎ、しゃがむ際は周囲の安全を確認するよう保護者へ声かけを行う

■保育者自身も駐車場の様子を見守り、危険の兆候に注意を払う

■引き渡し時には、保護者に冷静な行動を促す声かけを工夫する

また、「駐車場の整理や見守りを担う担当者をあらかじめ決めておく」ことが重要です。
車両の出入りや歩行者の動きを見守り、必要に応じて声かけや誘導を行うことで、駐車場内での事故を未然に防ぐ備えになります。


物語は、先生方がイラストを添えて絵本や紙芝居としてもご活用いただけるよう、絵本調のやさしい表現で描いています。

園児たちへの安全教育や防災教育の教材として、また保護者の方への注意喚起の資料として、園内でご自由にお使いください。
使用に関する申請や報告は不要です。(ただし、営利目的でのご使用はご遠慮いただきますようお願いいたします。)

日々の安全への取り組みの中で、少しでもお役に立てれば幸いです。

物語

「ちいさくなったら みえなくなっちゃった」

ぐらぐら、ぐらぐら。
大きな地震が起こりました。

こうちゃんは、机の下にかくれて、先生の声を聞きながら、頭を守りました。
揺れがおさまってから、こうちゃんは、先生とお友だちと一緒にお庭へ避難しました。

そのあと、みんなでお部屋に戻って、ママが来るのを待っていました。
こうちゃんは、少しドキドキしていましたが、お友だちと一緒にいて、先生がそばにいてくれたので、だんだん落ち着いてきました。

そして、しばらくして――
ママがお迎えに来ました。

「地震、こわかったね……」
こうちゃんは、ママの手をぎゅっと握って言いました。

「大丈夫よ。ママと手を繋いでゆっくり歩こうね」
ふたりは駐車場へ向かいました。

駐車場には、たくさんの車。
いつもよりにぎやかです。

そのとき――
ぐらぐらっ。
また大きな地震です。

「しゃがもう!」
こうちゃんママの声で、ふたりはぺたんと地面に座りました。

駐車場には他にもお友だちがいて、みんな揺れがおさまるのをじっと待っていました。

こうちゃんのすぐ近くには、赤い車が止まっていました。
その中には、あやちゃんと、あやちゃんのママが乗っています。

運転席のあやちゃんママが言いました。
「びっくりしたね」
あやちゃんは、ママの顔を見て答えました。
「おしまい?」
あやちゃんママは にっこりして言いました。
「うん、もう おしまい。だいじょうぶだよ」

揺れがおさまったので、あやちゃんママは、車を動かしはじめました。

あやちゃんの車の前には、ぺたんと座っているこうちゃんと、こうちゃんママがいます。
でも、あやちゃんママには見えていません。

そのとき、近くを歩いていた りくくんママが
「止まって!人がいる!」と大きな声で叫びました。

キキッ――。
車が止まりました。

あやちゃんママはおどろいた顔で車を降りて、ぺたんと座っていたこうちゃんたちに言いました。
「ごめんなさい。見えていませんでした……」

こうちゃんママはこたえました。
「大丈夫です。ありがとう。」

こうちゃんは立ち上がって、ママと手をつなぎました。
周りを見てから、ふたりはゆっくり歩きはじめました。

〈おしまい〉

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